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September 2010  Back to Top
イトヨリのフィレ ジャガイモのクルート仕立て ブロッコリーのフラン、柑橘ソース
タラのロティ ルガイユのガルニチュール イカ墨のパスタ添え

昆布 だし

三國シェフが本国最北端の島/利尻島を訪れ、地元の幸で一品を、という番組で紹介していた
「魚のムニエル、昆布のうまみソース」
そのソースで使用していた利尻昆布が気になって、気になって

「だし」は日本食が世界中でここ何年も持て囃されているのもあり、各国の料理界で大注目されている
米国ではすでにだしのうま味成分が「ウマーミー」としてすっかりと定着しており
それは一体何だ?と説明をせがまれる前にきちんと調べ上げ、ある程度は把握しておこうと思っていた
と言うわけでこの機に「ザ・昆布」、調べていくと切りがないくらい奥が深い
なので今回はざっとひと調べ、要点のみをまとめてみた


日本の昆布の総生産量の3割が養殖で7割が天然、天然の95%が北海道産
つまり一般に流通している昆布のほとんどが道産ということになる

大まかに日本で採れる昆布は14種類、その中で代表的な四品種があり、内の三種が高級品とされる
品種や銘柄の中でも長さ、重量、幅、結束法などにより等級があるほか
天然か養殖かの育成法による格付け、浜別による価格構成、形や光沢による等級分け
沖か岸かの成育深度による格差などがある

最も高級品扱いされているのが昆布の代表格、真昆布
函館産の白口浜/黒口浜という銘柄や、津軽海峡付近で採取されたものが中でも良質とされ
まろやかで上品な甘味が特徴、高級だしと言えば真昆布、主に大阪の方で人気
天下の台所=大阪を支えてきたのがこの品種

次に同格扱いされているのがオニコンブ、通称=羅臼昆布
その男性的でワイルドな風貌から Laminaria diabolica「悪魔の昆布」という学名を持ち
汁は濁り薄黄色に染まるが、香りが高く濃厚でコクがあるのが特徴、こちらは関東人好み
自分は生まれも育ちも関東だが、だしに関していえば関西の味を好む
が、時として無性に関東味を欲することもあるので、その際はこの昆布

そして今回気になった利尻昆布
味は薄いが甘味の他に塩気が効いており、上品な香りが高く、透明で澄んだだしが取れるのが特徴
高級懐石や京料理には欠かせないのがこの品種
一等級品は高級料亭や昆布問屋に買い占められる為、地元でもそう出回らないという代物もある

日高昆布
香りが強過ぎるためだしには向かないが、繊維が柔らかいので煮上がりが早い
酢漬け、佃煮などの惣菜のほか、鍋物の種としてだしを取った後に食すのに適している
甘味は薄いが味はよく、庶民的な味として親しまれるのがこの種


と、日本の昆布4トップを簡潔に網羅したが
せっかく一流の昆布であってもだしの取り方も一流でなくては台無しというもの
ということでだしの取り方、ちなみに正確にはだしは「抽く=ひく」というらしい

昆布のうま味の主な成分はグルタミン酸、グルタミン酸の特徴として
水に浸けている時間が長く、温度が高く、加熱時間が長いほど水に抽出しやすい、が
うま味の他に渋味の海藻タンニン、ぬめりのアルギン酸、昆布臭なども一緒に溶け出してしまう
なので浸水時間や温度の調整をする必要がある
常温の水では30分でグルタミン酸の溶出量は頭打ちとなり
それ以上浸けていると雑味成分が溶け出し始めるので
およそ20分ほど水に浸けたら火にかけ、ゆっくりと沸騰に持っていくよう火力を調整する
ただし沸騰させてしまうとその臭み、えぐみ、ぬめりが出てくるので沸騰直前に引き上げる
これだけで雑味のない、うま味成分いっぱいのだしを抽くことが出来る

一番だしをとる際、この後にカツオ節を入れることになる
カツオ節も同様、高温で長時間煮出せばうま味成分のイノシン酸を多くとれるが
こちらはピラジンやフェノールといった大切な香り成分が揮発性で失われてしまうので
高温/短時間で煮出す必要がある
その時間は昔から言われるカツオ節を入れてから沈みきるまでの時間、つまり約3分ほどが目安
昆布を抜いて軽く沸騰させ、火を止めてからカツオ節を入れ、沈んだところをそっと濾す
この一番だし、イノシン酸とグルタミン酸が組み合わさると1+1=12.5 という相乗効果が現れる
というデータもあるほど理にかなったマリアージュ
時間と温度を上手にコントロールすればご家庭にある食材でも充分に美味しいだしが取れるはず


調べ事をした勢いでネットで購入してしまった極上の利尻昆布
電車の乗り換えで通過した有楽町の交通会館内の北海道物産店にて
衝動買いをしてしまった二等級の羅臼昆布
これからまた一探り入れ、入手計画を立てている真昆布


結果、良い物を使えばいいというよりも、その昆布の特徴を活かし
料理に合わせて適材適所な使い方を心がけるようにすればよい、という解釈に今回は留まった
日本人として恥ずかしくない昆布の知識、的確な使い分けを身に付けたいと思う


銀ムツ

魚のムニエル、昆布のうまみソース

材料:
銀ムツ 1切れ
生椎茸 2ヶ
一番だし 75ml
生クリーム 大1と2/3
マスタード 大1と1/2
バター 25g
オリーブオイル 適量
ペルシアッシェ 適量


作り方:
だし汁を浅鍋に入れ軽く沸かし、生クリーム、マスタード、バターを入れ煮立たせる
全体が馴染んだら火を止め、パセリのみじん切りを入れソースは完成、そのまま保温

魚全面に塩コショウをしっかりとし、皮面にうっすらと小麦粉を振る
フライパンにオリーブオイルとバター10gを入れバターがムース状になるまで熱する
魚の皮面を下に入れ、フライ返しなどでそっと押さえつけ、6割ほど火を入れる
魚の天地を返し、バター10gと薄切りにした椎茸を入れ椎茸に塩コショウをする
魚と椎茸に火が通ったら皿に盛って周りにソースを添えたら出来上がり


昆布のグルタミン酸、カツオ節のイノシン酸、そしてシイタケのグアニル酸のうま味オンパレードな一品
番組ではホッケを使っていたが白身系の魚ならなんでも良さそう
今回は偶々冷凍庫に眠っていた銀ムツを使ったが、いささか良過ぎた感があり
このソースは和洋折衷の理想系の一つ、正しくフュージョンといえる味
もしかしたらこういう場合は利尻のものより羅臼の昆布の方が対等な組み合わせになるのかもしれない
味覚/料理は時代に伴いどの国でも確実に進化するもの、しかし
日本人にとってのだしの味は幾年の年を経ても変わらないものであって欲しい

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