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Title: 七日の木曜日、雨銀。

雨の中、偶には気分を変えてと、電車でフラり銀座まで。
自転車では十五分とかからないので近いのは承知していたが、
電車だとたったの駅三つで着くと知り、改めて自分の生活圏をメトロ的に認識した。
都営浅草線/東銀座駅下車。

公共の交通手段は遠出をしたり地方都市にでも行かない限り滅多に利用しないので
偶に都内で利用すると脳が勝手に誤作動を起こし、あたかも小旅行をしているかのような錯覚に陥る。
旅中でしか味わえない自分のアノニマスな存在を都内で、ましては家の近所にいながらにして味わえる。
これはちょっとした嬉しい脳の誤算だ。

取り合えず向かった先は初めて訪れるココ
三崎にはドライブでよく行く。勿論、地元の食目当てに、。
銀座のド真ん中にあるこの店で、三崎の幸を地元の値で味わえるとあり、胸を膨らます。

ランチ一番乗り。三崎=鮪、丼で食す。
現地のものと同一物を扱っている訳だから、当然と云えば当然のように美味い。
ただ銀座という立地条件上の評価となるので、お値打ち感が際立つ。
一階が港にある販売所の様なスペースになっているので、次回は買い物にでも、。

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外は雨脚が弱まっていた。
雨も悪くはなかったが、降ってないに超したことはない。
濡れた歩道、湿った空気
次に徒歩で向かった先は Hermes のアートスペース/メゾンエルメスに展示されたコレ
40人に個別に付けられたマイクで同時収録された、40人の合唱/演奏で構成された楽曲を、
40個の独立したスピーカーから同時にアウトするといったサウンド・インスタレーション。

耳が慣れるまで多少の時間を要したものの、
ふと気付くと自分は複雑に共鳴し合う福音の渦中にいた。
呆然と立ち尽くし、歩き回り、椅子に掛け、様々な音の変化を体中に吸い込んだ。

この時に感じた録る側の自然界との関係性、またその再現性のダイナミズムとは別の
楽曲の持つ神聖な世界観と展示会場のアトモスフィアの特質を色濃く反影した作品だと感じた。

L1026191.jpg

時が流れ、鬩ぎ合う感覚が一まとまりになった時、
その密室に居合わせた、もう一人の女性スタッフと目が合った。

一つの物事においてある程度の見識を得た人は往々に、その事に衒学的にならず
その事を通した他者との関係性にサブジェクトをシフトする。
彼女は正にそういう人で、そしてこの作品の趣旨を十二分に理解していた。

十人いたら十通りの説明をしていたであろう優秀なキュレイターであった彼女は
僕の curiosity over sociality な態度に嫌な顔をせず、
一つ一つ丁寧に受け答え、そして深くうなずいてくれた。
彼女の釈義によって丸く覆われた僕の、触発されたとり止めのない感覚は、
40人のアンサンブルと相共に、一つの記憶として胸に留められた。

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雨はすっかりと上がっていた。
福音の余韻に浸りながらライカサロンに長谷部さんに会いに行った、が休みだと、、。
エリオット・アーウィットの写真展はまたの機会に取っておき、TOHO シネマズスカラ座に向かう。

「Burn After Reading」は各賞受賞/ノミネイトされた作品「No Country」の監督(コーエン兄弟)が
錚々たる顔ぶれの役者陣で固めた超話題作、的なリードに期待させられた人は、
必ずと云っていいほど肩すかしを食らうはず。

「Raising Arizona」や「Fargo」に見られるような、ニヒリスティックでシュールな笑いをそそる
おバカなクライム・コメディを総豪華キャストで演出すると?
そんなマインドセットで観ると適温度で向かい合える気がする。
僕はジョン・マルコヴィッチが冒頭で F-word を連呼する辺りから温度調整に取りかかれたので
期待以上に愉しめた、笑。

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地面も乾き始め、普通に歩いていると、自転車に乗っていない自分に違和感を覚えた。
この日は雨が降っていたから歩いて来たのであって、
晴れた途端にそのマヤカシは水たまりと一緒にどこかに蒸発してしまった。
同じ距離のはずの帰り道がちょっとだけ長く感じた。

寄り道をして気を紛らわしていると、
一日雨銀座の締めくくり、「エンドロール」的な光景を目に、。

photo3.jpg

映画や作り話の中だけのものだと思い込んでいたが、まさか実在したとは、、
あるいは実在したが故の逸話だった、そうであるに違いない。。。

それにしてもどのような技法を用いるとこの様なアウトプ〜ットが構築されるのだろう、、。
嘘みたいなこの世の中、自分にはまだ見ていぬものが沢山あるのだと、そう確信した瞬間でもあった。

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駅に戻る途中、Hermes のビルの外観を初めてまじまじと見た。
外壁のガラスブロックが、雨の水滴でキラキラと輝いて見えた。

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