「誰も知らない」、「歩いても、歩いても」は僕の好きな映画ですが
今作も同じ監督、是枝裕和氏が Cocco というアーティストの十周年ツアーに密着した
ドキュメンタリー映画。
Cocco が沖縄の米軍基地予定地となった海に偶々現れた絶滅危惧種のジュゴン二頭に
喚起されて作った曲「ジュゴンの見える丘」を発表。
歌を通して自分の生まれ育った沖縄の自然を守る運動を広めようと勤める。
その曲に共感した青森の六ヶ所村にいた少女が、同村の核燃料再処理事業問題に
胸を痛めていることを綴った一通のファンレターから全ては始まる。
そしてある日、ライブアースで Cocco が「ジュゴン~」を唄う姿を見た是枝氏の中で
何かが震え、何かをしたいと思ったことがきっかけとなりこの作品は生まれた。
同じような問題/痛みを抱える人達が、自分の他に沢山いることを知った Cocco は
唄いながら、祈りながら旅を続け、カメラの前で思いを露に語る。
是枝氏のテイストがやっぱり好きなのもあって、良かったです、この映画。
1、2台のハンディでよくここまでシネマティックな感じになるなと。
偶にフィックスの画も欲しくなるけど、これはこれで被写体とのバランスとかも含め
ロードムービーっぽくていいのかな?
画柄、カット割り、もろもろ良かったです、ストレートだけどどこかシャープで、。
あと Cocco という子、僕はこの映画で初めて知ったんですが
かなりオリジナルなキャラで好みが分かれる所かもしれないけど、僕は割と共感持てました。
沖縄訛でピュアな喋り、言葉とか意味じゃなく、想いがちゃんと伝わる感じ
歌い始めると別人みたいになり、実力ある歌声で聴く側に確実に何かを届けてる。
あと最近、六ヶ所村のことにもちょっと興味があったので
その辺の事情ももっと触れていたら、と思ったんですが
今作はあくまで Cocco 目線で、といった感じ。
一番気になったのは是枝監督と Cocco を突き動かした原動力とそれを形にする能力。
ないがしろにしがちなセレンディピティ的なエレメントって
ちゃんとアウトプットすることが大切だったりするんだな、と思ったり、。
偶々ジュゴンを見たことによって得た自分の中の何かを歌にする
ファンからの手紙をちゃんと何かに繋げていく
偶々ライブを見て、何かをしたいと思ったことをちゃんと実現する
些細なミス、ちょっとした誤解、新たな発見
何かとの出会い、人との交流、新たな仕事
何らかの切っ掛けで生まれるちょっとしたひらめきって
どんな形であろうと自分に素直であれば、それは形にする価値/意味があるのかな、とか。
そのアウトプットする行為にとても必要性を感じるので
僕もこうやって感じたこと、影響を受けたこと、自分の一部にしたいことを
文面にしたり、何かを創ったりして吐き出してるワケなんですが、、、
そうしないと情報過多で消化不良になってしまいますからね、今のこの世の中では、、、、
