最近劇場でよく映画を観てます。一本観ると予告を何本も見せられ、あれも観たいこれも観たいなんてなって、、観れば観るほど観たい映画がどんどん増えていってしまう、、。不定期的に現れるこの現象、嫌いじゃないんですけどね、中毒性が高いので懐にちょっぴり響きます。
で、今回は「コントロール」を観てきました。先日突如として訪れた The Stone Roses ブームから派生した僕の中のちょっとしたブリット・ポップ/ロック・ブームが自然の流れで Joy Division/New Order 辺りで落ち着いていたので、この作品にタイムリー?に出会えたのは何とも奇遇。
「コントロール」は Joy Division のボーカル、イアン・カーティスが同バンドを始めてから2年後の23歳の時に自ら夭折するまでの短いながらも壮絶な数年間を描いた biopic ( biographical motion picture=伝記映画)妻デボラ・カーティスが著した書籍「タッチング・フロム・ア・ディスタンス」が原作。それをロックミュージシャンのポートレイトを中心に撮り続ける写真家であり、Joy Division、Depeche Mode、U2、Nirvana などのPV監督も務めるアントン・コービンが映画化。
アントン・コービンは Joy Division の1st album「Unknown Pleasure」に影響を受け故郷のオランダを離れ渡英を決意したロックフォトグラファー。彼にとって Joy Division は特に思い入れのあるアーティスト。なのでやっぱりそういう人が手掛けるとちゃんと作品の随所にその思いが滲み出てくる。仕事とはいえ好きでやるというレイヤーが最初に敷いてあるとちゃんとそのプラスアルファーな部分が上層レイヤーにも露呈され、観る側はそういう部分に何かを感じる気がします。
全編モノクロの映像、キレイでした。ほとんどの作品がモノクロというコービン氏ならではといった、光と陰影を熟知している人が丁重に作り上げたトーンの連続は写真が動いているような印象。最初にモノクロフィルムを用いてテスト撮影を行ったところ粒子が荒れ過ぎているという理由から本編はカラーフィルムで撮影した後にモノクロ調に変換している。結果、ぬるっとしながらもドライで、今時の再現力の高い描写なのにどことなく古っぽい、言ってみたら今風の昔の感じ?が独特な雰囲気を作り出している。
内容は一貫してかなり暗かったです。 Joy Division の音のまんまです、笑。でもどうしてあんなに Joy Division が暗かったのかまでは知らなかったのでこの作品を観て納得したと同時に自分の持っていた Joy Division の見解が一変しました(まだ知らないことも沢山あるのだろうけど、、、)イアン・カーティスの lyric への己の入れ込みようを始め、持病との闘い、妻と愛人との三角関係問題、その他の様々な要因が Joy Division の lyric、音楽性に影響していたのだと知りました。
全体的に良かったんですが、唯一残念だったのが僕の一番のお気に入りの曲「Ceremony」が聞けなかったこと。その曲はイアン・カーティスが最後に書いた lyric で Joy Division がリリースした最後の曲でもあり、New Order が最初にリリースした曲としても知られています。この映画のどこかで使われているのでは?それはどんなシーンなのかな?と期待して行ったのに聞けなかったのでちょっと残念でした、、。でもその他のスコアはラストの「Atmosphere」も含めどハマっていたのでよかったです。さすが聞き込んでいる人が当てているだけのことはあるなと、。
これで僕の Joy Division/New Order 熱も一段落しそうです。さて、次は何を聴こうかな?